ディズニーランドのハッピーサイクル研修+

STEP 3 お客様の笑顔はお客様へと伝わる

第六章 6-4

この本の目次

アナタの楽しさが伝わってお客様のハッピーになると、不思議なことが起こります。

なんとぉっ、妖精が現われてぇぇ!

……というのはウソですが、本当は不思議でもなんでもない、ある当たり前のことが起こるんですね。


突然ですが、ここで質問です。

・大好きな人が、アナタに嬉しいプレゼントをしてくれました。このことをアナタは、友達に話しますか?

・旅行先で感動的に美しい景色を見ました。このことをアナタは、家族に話しますか?

・いままで一度も褒めてくれなかった上司が、仕事のことで初めてアナタを褒めてくれました。このことをアナタは、恋人に話しますか?

ですよね。きっとアナタは、これらのことを誰かに話すと思います。

だって人は、嬉しかったことや楽しかったこと、良かったことを、誰かに話さずにはいられない生き物ですもの。

「嬉しい」「楽しい」「良かった」と感じたことを親しい誰かに話すと、相手からはたいていの場合、「へー、いいなぁ」「それどこの?」「私も行ってみたいな!」といった反応が返ってきます。そして人は、誰かからこういう反応をもらうと、自分が話した「良かったこと」を、「超良かったこと」に変換しようとするんです。「人にうらやましがられる私」という、ある種の優越感が生まれ、それを高めようとするんですね。

その体験が重なると、「良かったこと」を話した人は、話しに出した「良かった」の対象を、どんどん好きになっていきます。だって自分に優越感を与えてくれるものなのですから、好きにならずにいられない。「やっぱ私の恋人はステキ!」「あの景色は一生忘れられない」「怖いと思ってたけど、あの上司もいいとこあるんだなぁ」となっていきます。

実は、これとおなじことが『ハッピーサイクル』の中でも起きるんです。

アナタのお店でハッピーな体験をしたお客様は、家族や恋人、友人、同僚といったまわりの人に、その「ハッピーな体験」を話したくなってしまうんですね。

アナタにも経験があると思います。たとえば、食堂のおじさんが「おまけだよ」ってコロッケをひとつくれたことが嬉しくて、つい友達に話してしまった、とか。

アナタのお店でハッピーを体験し、そのハッピーを誰かに話すことで、お客様は自分が体験した「ハッピー」を「超ハッピー」に変換します。するとお客様は、アナタのお店がどんどん好きになっていきます。

たとえば「コロッケをおまけにくれた」が「給料前で厳しいときにコロッケをおまけにつけてもらえて超ラッキー」に変換され、だんだんと「おまけしてくれた食堂のおじさん超いい人、おじさんがやってるあの食堂、私大好き!」になっていくわけです。

不思議ですか?

でもこれは妖精のマジックでもなんでもありません。現実に起きることです。

また、人は誰かが「いい!」といったものには興味を持ちます。

ほら、アナタも行列のできるお店に思わず並んでしまったりしませんか。並ばないとしても、「なんのお店だろう?」と興味を持ったりしますよね。あれもおなじこと。

目の前にある「行列」は、誰かが「いい!」と感じたことの結果です。並んでいる人は、「いい!」ことを手に入れたいから並んでる。つまり、たくさんの人が「いい!」と思っているということが「行列」という目に見えるかたちで表現されて、「この先になんかスゴいものがある!」と無言でアナタに話しかけているんですね。だから興味を持ってしまうんです。


ディズニーランドだっておなじです。

キャストがお客様に提供したハッピーが、お客様によって別の誰かに伝えられる。伝えることでお客様はもっとディズニーランドが好きになり、伝えられた人は「そんな素敵なことがあるディズニーランドに行ってみたい、私もハッピーになりたい」と思ってくれる。そうして初めて、あるいは再度、訪れてくれたお客様にハッピーを提供し、それがまた誰かに伝えられる……。

アナタが知っている数々の「ディズニーマジック」も、こうして誰かからアナタの耳に届き、そしてアナタのディズニーランドに対する興味が一層かきたてられるわけです。

お客様が感じたハッピーを誰かに伝えることで、そのハッピーを提供してくれたお店をより好きになる。

お店でもらったハッピーを誰かから伝えられることで、その人にハッピーを提供したお店のことに興味を持つ。

どちらも、「お客様を呼ぶのはお客様」という意味ではおなじこと。

つまり、お客様にハッピーになってもらえれば、お客様はお店に来てくださるということなんです。

さぁ、ステップ1でアナタが起こした小さなアクションが、アナタの知らないところでどんどん大きくなり広がり始めました!

次はいよいよステップ4です。『ハッピーサイクル』の最後のステップは、いったいどうなるのでしょう?

2026年の補足

嬉しかったこと、あなたはつい誰かに話しませんか? ディズニーは、この人の心を、そっと後押しする仕組みを持っています。たとえば、お祝いシール。誕生日や記念日にキャストへ伝えると、名前入りのシールをその場でプレゼントしてくれて、それを身につけていると、あちこちのキャストから「おめでとう!」が飛んでくるんです。こんな一日、家に帰ったら話したくなりますよね。「お客様を呼ぶのはお客様」——その最初のひと転がりを、キャストが優しく仕込んでいるわけです。