ディズニーランドのハッピーサイクル研修+

目指す「ゴール」はわかりやすさが重要

第三章 3-4

この本の目次

ディズニーランドのキャストが目指している「ゴール」は、【すべてのゲストにハピネスを提供する】でした。

次は、アナタが「ゴール」を決める番です。イキイキとやる気を持って仕事にのぞむための、アナタがサービスパーソンとして目指していく「アナタのゴール」を、一緒に考えてみましょう。

「でもディズニーランドの場合、キャストの『ゴール』って、キャスト全員が目指しているものでしょう? だったら私も『私のゴール』じゃなくて、『お店のスタッフ全員が目指すゴール』を考えなきゃいけないんじゃないの?」

と思ったかもしれません。でも私は声を大にしていいたい。

「アナタのゴール」でいいんです!!

だって、まずはアナタが「接客サービスを楽しんでいるハッピーな人」になることがいちばんだから。

いきなり「お店のみんなが」とか大きく出ても、そうそう簡単には実現できません。

それに「みんなのゴール」はオーナーさんとか店長さんとか、それこそ「みんな」で相談して決めなくちゃ、アナタひとりで考えて提案しても、納得してもらえなかったり受け入れてもらえないかもしれません。

それよりも、まずはアナタ自身がイキイキとやる気を持って仕事をすること。

アナタが楽しそうに仕事をすればするほど、まわりのスタッフもアナタのように「楽しく仕事がしたい」と感じてくれたり、「楽しくサービスすることってできるんだ」と思ってくれたりするようになります。

いまでは「訪れた人みんなが笑顔になる」といわれる、あのディズニーランドだって、もとは「みんなと楽しくすごしたい」という1匹のネズミの強い想いから始まりました。

だから、まずはアナタがイキイキとやる気を持ってお仕事にのぞむための、「アナタのゴール」を考えましょう。これが大事なんです。

「わかった。でも、いきなり考えろっていわれても難しいよ」

そうですよね。難しく考えれば難しいかもしれません。

でもね、本当はそんなに難しいことじゃないんです。考えるにあたっての重要なポイントさえおさえておけば、ぐっとイメージしやすくなりますよ。

そのポイントとは、「わかりやすい言葉で、覚えやすい長さ」です。

「ゴール」というと、どうしても崇高なイメージを持ちがちです。それに、せっかく考えるならカッコいい言葉で表現したい!とも思いがちですよね。

でも、それでは意味がなくなってしまいます。


たとえば、ディズニーキャストの目指すゴールが、

【日本国におけるアミューズメント業界の第一人者として、新しい可能性と価値を創造し、来園者の幸福感のために全身全霊を注ぐことを使命とする】

だったらどうでしょうか?

これ、【すべてのゲストにハピネスを提供する】とだいたいおなじ意味合いのことをいっているのですが、使う言葉を変えただけで、こんなにも心に響かないものになってしまいます。響かないどころか、意味不明です。

もしも「アナタのゴール」がこうなってしまったら、意味がない!

だから、「ゴール」はわかりやすい言葉でシンプルに表現しなくてはいけないんです。「サービスパーソンとして当たり前だよ、そんなの!」というくらい、明確でわかりやすいものである必要があります。

「ゴール」を決めるうえで大切なのは、カッコよさや、ぶっ飛んだオリジナリティではなく、忘れずに守り続けることができるものであること。どんなときでもすぐに思いだすことができ、その「ゴール」に向けて進み続けられることが重要なんです。ディズニーキャストが目指している「ゴール」は、そのことを教えてくれています。

そして「ゴール」を見つけるための鍵となるのが、

「アナタがサービスパーソンとしてお店に立っているとき、どんな瞬間がいちばん嬉しいですか。どんなときにやりがいを感じますか」

ということ。それを思いだし、そのまま言葉にしてみましょう。

ここまでくれば、「アナタのゴール」が決まるまで、あと一歩です!

2026年の補足

「1匹のネズミの強い想いから始まった」という本文の一節、じつはウォルト・ディズニー本人の言葉と重なります。彼は「すべては1匹のネズミから始まったことを、いつまでも忘れないでほしい」と訳される言葉を残しました。そのネズミが、ミッキー。スクリーンデビューは1928年公開の短編『蒸気船ウィリー』です。世界的な企業に育った今も、原点はたった1匹のキャラクター。壮大でカッコいい言葉より、シンプルで忘れない原点のほうが、ずっと遠くまで人を連れていく——「わかりやすさが大事」という本文と、みごとに響き合っていますね。