この本の最初から私がずっとずっと訴え続けている「楽しくサービスしよう!」という言葉。これ、本当に大事なことだから、もう一度正しくお伝えしておきますね。
私がいう「楽しく」とは、あくまでも「やりがいや充実感、達成感から生まれる楽しさ」のことです。お笑い番組を見て腹をかかえて笑い転げるような「楽しさ」とは違いますよ。いまさらですが、そこはブレないようにお願いしますね!
そんな楽しさをアナタが感じることができる「良い職場」の環境をつくっていくには、どうしたらいいのでしょうか。職場に何があったら、仕事にやりがいや充実感、達成感を感じることができるのでしょうか。
この質問を、あるお店で働く若いアルバイトスタッフにしたことがあります。すると、
「給料がアップしたら、評価されたみたいでやりがいを感じる!」
「一般スタッフから主任やリーダーなどに昇格すると達成感がある!」
と、こんな答えが返ってきました。
なるほど~って思いましたか。私も思いました。たしかにそうだなぁと。
どんな人でも、給料がアップするのは純粋に嬉しいものです。しかもそれが、勤続○年での昇給とか、「接客スキルが上がったね」と能力給を上げてもらったりすると、さらに嬉しく感じます。あー、私はここに必要とされているんだなぁと思えますものね。
また、一般スタッフからトレーナーなどへの昇格、トレーナーからキャプテンなどへの昇格は、給料アップとはまた別の嬉しさがあります。それはアナタの仕事ぶりが認められた証拠、アナタにより大事な仕事をまかせてもいい、それができるはずだと評価してもらえた証ですものね。否応なしに達成感を感じます。
もうわかってきましたね。
頑張ることで認めてもらえる、評価してもらえる。
やりがいや達成感を感じる瞬間って、つまりはこういうことではないかと思うんです。
サービスパーソンであるアナタが頑張るのは、もちろん「お客様の笑顔」のためでしょう。ですから、お客様から「ありがとう」っていってもらえるサービスができれば、それで充分やりがいや達成感を感じることができます。
でも、それだけじゃ補えない充実もあります。
そこを埋めてくれるのが、自分の頑張りを見ていてくれて、前向きに評価してくれる人。そういう人がいるって、とてもありがたいことなんですよ。
一生懸命頑張って、うまくやれたことを認めてくれて、それを褒めてもらえたら、さらなる「やる気エンジン」点火!です。
一生懸命頑張ったけど、うまくやれなかったことを見ていてくれて、励ましてくれたり助言をもらえたら、次はその問題を乗り越えて成長できるかもしれません。
うまくいってもいかなくても、アナタが「頑張った」ことをちゃんと見ていて、前向きに評価してくれる。そういう人がいるだけで、仕事から得られる充実感や達成感は何倍にもふくらむんです。
そしてポイントは、「見ていて、評価してくれる人」は、なにも「上司や先輩でなくてはならない」わけではない、ということ。
たとえば、うまくいったときに後輩から「○○さん、すごいですね!」といわれたり、うまくいかなかったときに同僚から「もしかしたら、ここはこうすると、もっとうまくいくんじゃないかなぁ」とアイデアをもらったりすることだって、小さな小さな積み重ねですが、アナタのやりがいや充実感、達成感につながっていきます。
大事なことは、「誰が見ていてくれて、評価してくれるか」じゃないんです。「頑張りを見ていてくれて、前向きに評価してくれる人がいる」ということなんですよ。
ディズニーランドには、キャストの頑張りを見て、褒めたり前向きに評価する仕組みがあります。キャストどうしで褒め合い、認め合える仕組みを用意しています。
それはいったい、どんな仕組みなのか、知りたいですよね。それに、できることなら参考にして、アナタのお店でも応用したいですよね。
ディズニーランドは、どういう仕組みを持っているのか。そのやり方を見てみましょう。
+2026年の補足
「頑張りを見ていてくれる人がいる」——ディズニーランドには、それを仕組みにした「ファイブスターカード」があります。上司が、素敵な接客をしたキャストを見つけたときに手渡すカードで、1995年から続く褒賞制度だといわれています。積極的なサービス、チームワーク、あいさつと笑顔、丁寧な案内、ショーマンシップ。その頭文字をとって"STARS(スターズ)"。カードが集まると、キャスト限定のパーティーに招かれるそうです。誰かがちゃんと見てくれていると、目に見える形で返ってくる。本文の「評価してくれる人がいるだけで充実感は何倍にも」を、そのまま制度にした感じですね。
川崎真衣