「でも、うちのお店には、こだわりとかバックグラウンドストーリーなんてないし……」
と落ち込まないでくださいね。
いまは「ない」と思っている、施設へのこだわりやバックグラウンドストーリーを自分で「探してみる」ことも、立派な「興味」のひとつです。お店や仕事に興味を持つから、そういうアクションが生まれますし、興味を持てばお店を愛することもできます。
いつまでも先輩や上司が教えてくれることだけがすべてでは、アナタの仕事はたぶん楽しくなりません。
教わったことだけでなく、アナタの仕事を取り巻くいろいろなことに自分から「興味」をもって、調べたり覚えたり考えたりすること。こうすることで、アナタ自身がもっとサービスを楽しむためのタネを見つけることができるでしょう。
だからこそ、仕事やお店に興味を持ってくださいね。
でも、ここで私が本当にいいたいのは、実は「興味」の大切さではありません。
「興味」よりも、もっと大切なものがあるんです。
それは、「アナタ」。
お気づきだったでしょうか。ここまでの一連のお話のなかで欠かせないものが、ひとつだけあります。それは、ほかでもなく「アナタ」だということに!
アナタは、サービスの仕事に興味があって、サービスのことをもっと知りたい、もっと楽しみたい!という思いで、この本をここまで読み進めてくれたのだと思います。
そう思って読んでいくなかで、
「もっとお店を愛さなくちゃ」
「そういえばウチのお店の名前って、どういう意味があるんだろう」
「私にはゴールがなかった!」
「いわれてみれば、自分から人を褒めたりしてないな」
など、さまざまな気づきが生まれたはずです。
こうした気づきからアナタが起こすアクションは、アナタのお店に来るお客様だけでなく、一緒に働く仲間やお店自体を、そしてもちろんアナタ自身をハッピーにします。
だからこそ、いまこの本を手に取っているアナタの思いに、私から拍手を送ります!
スバラシイ!!
ディズニーランドの生みの親であり、私が尊敬するウォルト・ディズニーが、こんな言葉を残しました。
「最大のアトラクション、それは人だよ」
私はこの言葉が大好きです。
ディズニーランドでは、不思議でワクワクするような体験がよくあります。
たとえば「お子様ランチ」や「池に落とした指輪」の話などはけっこう有名なので、ご存じの方もいらっしゃるでしょうし(ご存じない方は、インターネットで「ディズニーランド いい話」などで検索してみてください)、もっと小さな感動や驚きは、毎日のようにどこかで起きています。
こうした体験は「ディズニーマジック」と呼ばれ、いろいろなところで、さまざまな人に語られています。
でも、「ディズニーマジック」をつくりだしているのは魔法ではなく、そこで働く「人」なんです。
ディズニーランドを楽しみたいお客様がいて、ディズニーランドでお客様に楽しんでいただきたいスタッフがいる、その「人」と「人」とのあいだに「マジック」が生まれるんです。
ディズニーランドに夢と魔法を振りまいているのは、いまは亡きウォルト・ディズニーでもなければミッキーマウスでもありません。毎日イキイキとサービスの仕事を楽しみながら働いているキャストたちが、いまのディズニーランドにマジックをつくりだしているんです。
アナタのお店もおなじです。
マジックをつくりだすのは、いつだって「人」。
アナタのお店のスタッフが、毎日イキイキとサービスの仕事を楽しむこと。
みんながサービスの仕事を楽しむために、まずはアナタが楽しむこと。
それが、アナタの心にディズニーランドをつくることに、そしてそれをお店や仲間へと広げていくことに、つながるんです。
サービスがもっと楽しくなるマジックは、すべてアナタから始まるんですよ!
+2026年の補足
ディズニーマジックの逸話は、真相が明かされないからこそ、そっと語り継がれるのかもしれません。本文の「お子様ランチ」の話も、その真偽は私にも断言できません。でも、ひとつ確かなことがあります。今の東京ディズニーランドでは、多くのレストランで、お子様メニューを年齢に関わらず注文できるんです(「◯才以下におすすめ」は、あくまで"おすすめ")。ルールより先に、目の前の人の気持ちへ。しあわせなサービスの瞬間は、そういう小さな選択の中に生まれるのだと思います。
川崎真衣