ディズニーランドのハッピーサイクル研修+

「良い職場」ってどんなところだと思いますか?

第四章 4-1

この本の目次

ここまで、「アナタ自身がいかにサービスのお仕事を楽しむか?」について、お話をしてきました。こうして考えてみると、サービスの仕事を楽しむエッセンスって、たくさんあるもんですね。

どうでしょう、読みながら「サービスの仕事ってやっぱり楽しい!」とワクワクしてきましたか。その気持ち、もっともっと高めたいですよね。わかります、わかります。

ただ、ここまでお話ししてきたことはアナタ次第でどうとでもなることなのだけど、ここから先は、アナタひとりだと、ちょっと難しいかもしれません。

いえ、たしかにアナタひとりでも、これからどんどんサービスを楽しめる環境をつくっていくことはできるんですよ。でもそれって、たとえていうならミッキーがいつまでもひとりでショーをしている状況とおなじなんです。

ミッキーがひとりでショーをしていても、ミッキーファンなら嬉しいでしょう。それにミッキー自身も、出演回数が増えるにつれて、ワンマンショーの技術がどんどん上達していくかもしれません。

でもミッキーの魅力って、ミニーやドナルドといったディズニーの仲間たちと一緒にショーに出ているときに、より一層輝いて見えるんじゃないでしょうか。

ミニーやドナルドがミッキーの引き立て役になってるってことじゃないですよ。ミニーだって、ミッキーがいるから、より可愛らしく見える。おたがいがおたがいの良さを引き出し合っているって思うんです。

……たとえがマニアックすぎたかな。

コホン。えーと、つまりこういうことです。

「アナタがサービスをもっともっと楽しむためには、やはり仲間の力が必要だ」

ということ。

「アナタのゴール」を決めて毎日イキイキ働けば、アナタはきっとサービスの仕事を楽しめます。そんなアナタを見て、まわりのスタッフもきっと「私ももっと楽しく働けるようになりたい」と思ってくれるようになります。そうやって、お店のスタッフみんながそれぞれにサービスの仕事を楽しむようになれば、アナタのお店はきっと、お客様にとっても楽しいお店になるでしょう。

でもね、「スタッフみんながそれぞれに」ではなく、「スタッフみんながおたがいに力を引き出しあって」お店全体が楽しくなると、アナタひとりで楽しんでいたときよりも、もっともっと楽しくサービスすることができるようになれるんです。

そうすると、他のスタッフももっと楽しく働けるようになるし、お店全体のサービスレベルもよりアップして、お客様にももっと楽しんでいただけるようになるんです。

アナタのお店もそんなふうにしたいですよね。


ということで、この章では、サービスパーソンにとっての「良い職場」について考えていきたいと思います。

「でも、『良い職場』っていったって、いちスタッフの自分がお店を変えることなんてできないよ……」

と思ったアナタ。

たしかに!

たしかにそうです。いきなりお店全体を動かしていくのは難しいです。

でも、だからといって何も行動しなければ、これから先ずっと何も変わりません。

それよりも、できることをやってみましょうよ。

やらないよりも、やってみる。ここまでこの本を読んできて、やる気充分になっているアナタだからこそ、一緒に働く仲間も巻き込むことができるんです!


では早速、ここでひとつ質問をしたいと思います。

アナタにとって、「良い職場」ってどんなところですか?

給料が高いところ?

休みがしっかり取れるところ?

休みの日に仲間と一緒にバーベキューパーティができるところ?

どれも大切なことです!

でも……、そうじゃないですよね?

サービスパーソンにとっての「良い職場」とは、歓迎したい、喜んでほしいといったスタッフの思いがお客様にそのまま伝わる「良い現場」と同義です。

スタッフの給料が高いとか、休みがしっかりあるとかバーベキューパーティを開催しているとか、そんなこと、お客様になんの関係もありません。まぁ、それがあることで仕事がバリバリできるというのであれば、まったく関係ないとも言い切れませんけどね。

それよりも、「お客様に喜んでほしい、楽しんでいただきたい」という気持ちをスタッフが持ち続けられることのほうが大事。

そのためには、仕事のやりがいや充実感、達成感を感じられて、スタッフ自身がお客様にサービスすることを楽しめる職場であること。これがサービスパーソンにとっての「良い職場」です。

そして、やりがいや充実感、達成感を感じ続けていくためには、サービスパーソンとしての自分を高めていける職場であることが重要。

つまり、本当の意味での「良い職場」とは、自分が向上できる職場のことなんです。

自分が向上するために、自分自身で勉強したり努力することはもちろん必要です。

でも、自分ひとりで努力し続けるのって、けっこうキツイんですよ。とくにそれが「仕事をするうえでの義務」みたいに感じられてしまうと、もう楽しくない。楽しく働き続けるために向上したいのに、そのための努力が仕事を楽しくなくしてしまう……。

そんなときに強い味方となるのが、一緒に働いている「向上心のあるスタッフ」なんです。より多くの充実感や達成感を求めて楽しそうに働いている仲間が、アナタの刺激となります。彼・彼女のやり方や考え方が、アナタにとってのヒントにもなります。そこからアナタがより向上するための糸口も見えてくるでしょう。

同時に、仲間からの良い影響を受けて向上していくアナタもまた、仲間にとってのよい刺激やヒントになります。

こうやって、スタッフどうしがおたがいに高めあっていくことができる――。

「良い職場」とは、このような関係の上に成り立ちます。

そんな「良い職場」の環境をつくっていきたいのですが、いったいどうすれば、やりがいや充実感、達成感を生み出せるのでしょうか?

ディズニーランドには、そのための「仕掛け」もあるのですが、それを紹介する前に、もうちょっと一緒に考えてみましょう。

2026年の補足

ミッキーがミニーやドナルドと一緒だと一段と輝く、という本文のたとえ。ちょっと年表を並べると、味わいが増すんです。ミッキーとミニーは、同じ1928年の『蒸気船ウィリー』で同時にデビューした"同期"。ドナルドは、その6年後、1934年の『かしこいメンドリ』で登場しました。デビューの時期はバラバラでも、今や3人(?)そろってこそのディズニー。仲間が増えるほど、一人ひとりの個性が引き立つ——本文の「おたがいの良さを引き出し合う」って、キャラクターたち自身が、ずっと体現してきたことなんですね。