ディズニーランドのハッピーサイクル研修+

アナタのサービスは誰のため?

第五章 5-1

この本の目次

「いくらサービス業といえども、結局のところ売上が上がらないなら、サービスばっかり重視したって意味ないじゃん」

ないとは思いますが、もしもこんなことをアナタがいま思っているのだとしたら……、アナタには《ふりだしにモドル》が必要です。この本を、もう一度最初から読み直してみましょう。大切なことを見落としている可能性があります。

まぁ、そんなことはないですよね。

たしかに「サービス業」といえども、売上は大事です。慈善事業ではありませんから、それ相応の「対価」をいただかなければ、商売として成立しません。

ただ、ここでアナタに間違った解釈をしてほしくないんです。

サービス業の仕事とは、「対価のためにサービスをする」ことではありません。

「サービスの結果、相手に喜びや満足感を提供できたことの対価をいただく」

これこそがサービス業の本質である、ということです。

えー、そうですね。もっと簡単にいうと、

「お小遣いが欲しくて、おじいちゃんの肩たたきをする」

のではなく、

「肩たたきをしてあげたら、おじいちゃんはとっても気持ちよくて嬉しくなったので、お礼にお小遣いをくれた」

という考え方です。どうでしょう、イメージ伝わってますでしょうか。

この2つの決定的な違いって、なんでしょう?

そう、それは「心」です。

たとえば、おじいちゃんの肩をたたいてあげることで500円がもらえるとします。

前者は、おじいちゃんのサイフから500円玉が出てくることをねらって肩たたきをしているので、「肩たたきでおじいちゃんに気持ちよくなってほしい!」という気持ちがないか、あっても非常に微量です。

後者は、「肩たたきでおじいちゃんに気持ちよくなってほしい!」という感情が先にきているので、おじいちゃんにとって最高の肩たたきを提供しようと努力しますし、「どう? 痛くない? どこが凝ってる?」といった気くばりもします。

両者とも肩たたきの結果、500円を手にすることはなりますが、前者の500円は、ただの労働賃としての500円です。しかし後者は、肩たたきをしてくれたことへの、おじいちゃんの「ありがとう」の気持ちが込められた500円なんです。

当たり前ですよね。

心がこもった肩たたきには、心がこもった対価が返ってきます。

そして心がこもった対価は、たんなる対価より何倍もの価値がある、プライスレスといってもいい「自分自身の喜び」につながります。

サービスの仕事の醍醐味って、これですよね!

だから私はずーーーっと一貫していっているのです。

「アナタ自身がサービスをすることを楽しめないと、サービスに意味が無くなる」と。

こうして巡り巡って見てみると、アナタがするサービスは、実は誰のためでもない、アナタ自身の喜びのために存在しているといってもいいくらいです。

だから、もっともっとアナタにサービスの仕事を楽しんでもらいたい。サービスをもっともっと楽しめるサービスパーソンになってほしい。

そこで最後に、そのために大切なことをもうひとつだけ、お話しさせてくださいね。

2026年の補足

おじいちゃんの肩たたき、いい例えですよね。私が現場で感じたのも、順番は逆だ、ということでした。見返りが先ではなく、まず目の前の人にワクワクを届けたい——その結果として、対価がついてくる。ウォルト・ディズニーも、お金は映画を作るために稼ぐのであって、その逆ではない、という趣旨のことを語っていたと聞きます。本文の「喜びの対価」と、根っこはきっと同じ。世界を魔法でいっぱいにした人も、はじめは"やりたい"が先だったのかもしれませんね。