ディズニーランドのハッピーサイクル研修+

STEP 2 お客様と一緒に楽しむ

第六章 6-3

この本の目次

ステップ1「まずは自分からやってみる」を実行すると、そのアナタのアクションは、誰にいちばん響くと思いますか?

たとえば、 お店を「大切な空間」にして愛したいから、まずはとにかく隅から隅までキレイにしてみよう!とアナタがアクションを起こしたとしましょう。いっぺんにお店全部をピカピカにすることは難しいから、ふだんなかなか手が回らないところから少しずつキレイにしていきますよね。するとだんだん、お店全体がキレイになっていきます。

その「変化」にいちばん最初に気づくのは、お店をよく知る仲間たちかもしれません。「おぉ、なんかキレイになったなぁ!」って。

次に気づくのは、よくお店に出入りされる業者さんかもしれません。「最近、バックヤードがキレイに整頓されてますね」って。

常連さんで、以前から頻繁にお店に来てくださっているお客様も、気づいてくれるかもしれません。「なんか前より、細かいところまで掃除が行き届いてるな」って。

では、年に数回来ていただけるかどうかくらいのお客様、あるいはアナタのお店に初めて来てくださったお客様は?

たぶん、アナタのアクションでお店に変化が生じたことには気づかないでしょう。初来店なら気づきようもありませんし。

だからといって「それじゃ意味がない」わけではないことを、アナタはもうご存じです。第1章でお話ししたように、細かいところまで手を抜かなかったことにはなかなか気づかなくても、手を抜いたところには敏感に気づいてしまうのがお客様だということを、あなたは知っているわけですから。

それにね、たとえ初来店のお客様でも、いまは気づいてくれなくても、もしかしたら、あとで気づいてくれるかもしれないんですよ。

それはお客様が、ほかのお店に行ったとき。そのときに、

「あら、この前行ったあのお店のほうが気分が良かったわ」

と、アナタのお店を思い出してくれるかもしれない。

これって、実はすっごくスゴいこと。だって、そうでしょう?

「アナタのお店のほうが気分が良かったわ」と思ってくれたお客様は、次にお店に行く用ができたとき、どちらのお店を選ぶでしょうか。「この前のお店(=アナタのお店)のほうが良かったわ」と思わせてしまったお店? それとも「良かったわ」と思い出したアナタのお店?

当然、アナタのお店ですよね。だって、アナタのお店のほうが気分がいいっていうことを、お客様は知っているんですから。そして人は、おなじことをするなら「気分がいい」ほうを選ぶものです。

これってつまり、お客様が「意図的に選んで」アナタのお店に来てくれる、ということ。アナタのお店が持っている個性や特徴を評価して、わざわざ来てくれるんです。


同様に、店長に店名の由来やロゴマークの意味について聞いてみる、というアクションで得られるものは、店名やロゴマークに秘められた熱い思いやお店の歴史、ここにいたるまでの店長やお店のストーリーです。それを知ったアナタは、

「そうか、そういう意味なんだったら、このお店にはもっとホッとするような空間をつくらなきゃ!」

などと気がつきます。そのために、挨拶のしかたを変えてみたり、おつりの渡し方をもっと丁寧にしてみたり、私語をしないように気をつけるようになったりと、サービスパーソンとしてのアナタのアクションも徐々に変化していきます。

そして、それが「気持ちの良いサービス」になっていると気がつくのも、最終的にはやっぱりお客様です。

つまり、ステップ1「まずは自分からやってみる」を実行すると、そのアナタのアクションは、誰にいちばん響くのか、の答えは……、

そう、お客様なんです。

アナタがサービスを楽しむために始めたちょっとしたアクションは、最終的にはお客様にハッピーを与えることにつながります。

アナタがサービスを楽しむことで、お客様も楽しくなる――。こうして「楽しさ」を一緒に共有することができるんですね。

スゴい!

アナタのハッピーが、ほかの人に渡っていきましたよ。

さぁ、その先に待っているものは?

『ハッピーサイクル』のステップ3は、ちょっと驚き!?の展開です。

2026年の補足

掃除から始める、という話で思い浮かべるのは、ディズニーの清掃キャストです。彼らのなかには、雨あがりの地面に、水とほうきでミッキーたちを描いてしまう人がいるんですよ。「カストーディアルアート」と呼ばれるサプライズで、いつ・どこで出会えるかは、お楽しみ。掃除というお仕事を、そのまま"ショー"に変えてしまったんですね。手を抜いたところにお客様は敏感、と本文に書きましたが、その逆も本当です。楽しんで手をかけた仕事は、ちゃんと誰かの目にとまって、笑顔に変わっていきます。