カリブの海賊へ、ようこそ。ここから乗り場までは少し長いですが、その時間もちゃんと楽しんでいただけるように、ご案内しますね。
海賊のアトラクションなのに、入口はずいぶん優雅なお屋敷ですよね?じつは、この家には、海賊をかくまっていた人が住んでいるんです。
歩く順番のとおりにお話ししますので、読みながら、ゆっくり進みましょう。それでは、出発です!
通り
まず、いま立っている通りを見てください。鉄のレース模様のバルコニー、ガス灯のかたちの街灯、手入れされた植木。ここはロイヤルストリートといって、アメリカ南部の町、ニューオーリンズの通りを写したものです。
ウォルト・ディズニーはニューオーリンズの街並みが大好きで、いちばんのお気に入りが、このロイヤルストリートでした。カリフォルニアのディズニーランドに、その大好きな通りをまるごと作ってしまった人なんです。東京にも同じ通りが再現されていて、私たちはいま、その一角に並んでいます。
ちなみに、カリフォルニアの「カリブの海賊」は、ウォルトが自分で監修した最後のアトラクションです。東京のこの建物も、1983年の開園の日からここにあります。
屋敷の玄関
顔を上げてください。海賊の旗が、かかっていますね。でも建物そのものは、パステルカラーの壁に、床まである両開きの窓。どう見ても海賊のアジトではなくて、お金持ちのお屋敷です。
海賊の世界へ行くのに、どうしてお屋敷から入るのでしょう?……この屋敷の持ち主が、ジャン・ラフィートという海賊を支援していた夫婦だと、いわれているんです。つまりここは、海賊をかくまう家!玄関はあくまで、優雅な表の顔なんですね。
ジャン・ラフィートは、実際にカリブの海にいた海賊です。盗んで手に入れた物を人々に分け与えたので、感謝される人であり、同時に役人からは犯罪者と見られていました。泥棒なのか、ヒーローなのか。その答えは、いまも伝説のままです。
屋敷の中
中に入りましたね。淡い桃色の壁に、シャンデリア。壁には海の絵が、いくつも掛かっています。

大きな額の絵を見てみてください。帆船がぶつかり合う、海戦の場面です。その隣の楕円の額には、青い服の婦人の肖像。この家のご夫人でしょうか。

奥の壁も、見てください。銃を立てて並べた棚があって、その上に帆船の模型が乗っています。お屋敷の飾りとしては、少し物々しいですよね?表向きは上品な家ですけれど、あちこちに、海の男たちの気配が混じっているんです。この家の裏の顔を、一緒に探しながら進みましょう。

地図
進んでいくと、壁が煉瓦に変わります。ここに、大きな古地図が掛かっています。

右下の文字を見てください。「Isla Tesoro」。スペイン語で、「宝島」です。地図の中には港の町があって、宝物庫のところに大きな×印。端のほうには、化け物に注意、という言葉も見えます。この先で待っている冒険の、手がかりと危ない場所が描かれた地図なんですよ。
私たちはいま、お屋敷の表玄関から入って、少しずつ海賊の側へ歩いています。この地図が、その境目です。
船着き場
煉瓦のアーチの向こうに、水が見えてきました。屋敷の裏の、船着き場です。ランタンが下がっていて、平らなボートが並んでいます。
このボートは「バトー」と呼ばれています。フランス語で、ボートのこと。ニューオーリンズはフランスの人たちが作った町なので、こんなところにもフランスの言葉が残っているんですね。バトーは、浅い入り江でも進めるように、船底が平らに作られています。
乗ったら、頭の上を見てみてください。船着き場の名前を書いた看板があります。……ラフィートの名前が、ついています!
入り江
出発すると、まず夜の入り江に出ます。木から垂れ下がっているのは、スパニッシュモスという植物です。空には星が出ていて、水面はほとんど動きません。右手に見える食事の明かりは、本物のレストランです。

この水路はバイユーといいます。実際のニューオーリンズのバイユーは、川の支流と木が迷路のように入り組んでいて、旅人が道に迷う場所だったそうです。それはつまり、海賊にとっては格好の隠れ家だった、ということでもあるんです。
私はこの入り江を、海賊たちが「昼間の役割」から自由になれる時間だと思っています。町の決まりに縛られた昼でもなく、命がけの外の海でもない。そのあいだにある、誰にも邪魔されない夜の水辺です。ここだけは、静かに進みましょうね。
急流の先へ
入り江の先に、急な流れがあります。ここを下ると、海賊たちが海を荒らし回っていた、ずっと昔の時代に入ります。デイヴィ・ジョーンズの幻が現れる滝を抜けたら、そこは夜の港です。
ここから先は、私が説明するより、見ていただくほうがいいですね。骸骨の警告、燃える町、牢屋の犬、そして宝の部屋。いろいろな動物も隠れています。カモメ、カニ、ロバ、犬、ネコ、インコ。全部、見つけられるでしょうか?
かくまう家の表玄関から入って、裏口の船着き場から海賊の海へ。この列は、そういう道でした。ラフィートが泥棒なのかヒーローなのかは、戻ってきてから、ぜひ考えてみてください。
それでは、みなさまどうぞ、よい航海を。ヨーホー!
出典: この記事の事実は、以下で確認しています。
・東京ディズニーリゾート公式サイト アトラクションページ「カリブの海賊」(2026年9月18日閲覧)
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「47年前の今日、ウォルト・ディズニー自身が監修した最後のアトラクションとは?」(2014年3月18日)/「荒くれ者の海賊と優雅な邸宅の関係」(2019年7月25日)/「アトラクションキャストが教える!見どころ紹介~『カリブの海賊』編~」(2023年5月22日)
・入り江の解釈は、筆者が情報誌 iroiro 沖縄の連載「ディズニーの魔法の成分」Vol.56「海賊たちの愛した静寂」(2026年7月)に書いたものです
・屋敷の中・地図・船着き場・入り江は、2009年に列の中で撮影した写真で実物を確認
注記: 本記事は非公式のファンコンテンツです。ウォルト・ディズニー・カンパニーおよび株式会社オリエンタルランドとは一切関係ありません。