待ち時間に読む、東京ディズニーリゾート物語ガイド

蒸気船マークトウェイン号の物語:待合室の壁に、なぜ斧が?

蒸気船マークトウェイン号へ、ようこそ。ここから乗り場までは少し長いですが、その時間もちゃんと楽しんでいただけるように、ご案内しますね。

乗り場の建物は、ちょっと駅の待合室のよう。でも壁をよく見ると、ここが「港」なのだと分かるものが掛かっています。

歩く順番のとおりにお話ししますので、読みながら、ゆっくり進みましょう。それでは、出発です!

看板

木の看板。RIVERS of AMERICA の文字、楕円の中に白い外輪船の絵、その下に Mark Twain Riverboat と Tom Sawyer Island Rafts

まず、木の看板です。いちばん上に「RIVERS of AMERICA」。真ん中の楕円に、外輪船の絵。その下に「Mark Twain Riverboat」、もう一段下に「Tom Sawyer Island Rafts」と書いてあります。

マーク・トウェインは、『トム・ソーヤの冒険』を書いた作家の名前です。作家と、その作家が生んだ少年。ふたつの名前が、ひとつの看板に並んでいるんですね。私たちが乗るのは、上の段のほうです。

船着き場の建物

緑の屋根の船着き場の建物。白い柱の車寄せの上の三角に MARK TWAIN RIVERBOAT の文字、その上に白い時計塔と船の形の風見

さあ、乗り場の建物です。緑の屋根の真ん中に、白い柱の車寄せ。その両側に、赤レンガの翼がひとつずつ。右と左を、見比べてみてください。きれいに左右対称です。

この建て方は「フェデラル様式」といって、200年ほど前のアメリカで流行したものです。控えめで、でも威厳がある。蒸気船の港には、ちょうどいい顔ですね。

車寄せの上の三角に、「MARK TWAIN RIVERBOAT」の文字。その上に、白い時計塔。そのてっぺんに、風見が立っています。何の形か、分かりますか?……船です。この建物の主役が、屋根の上で先に顔を出していますね。

待合室

車寄せの屋根を見上げたところ。三角の部分に MARK TWAIN RIVERBOAT の文字、屋根の下に吊りランプ

車寄せの屋根の下に入ります。見上げると、吊りランプが下がっています。

そして、耳を澄ませてみてください。蒸気オルガンの、温かな音楽が流れていませんか。

ここは、船を待つ人の待合室。……なんですが、ひとつ、変わったところがあるんです。一緒に探しましょう。

ドック主任の事務所

この待合室のあたりに、レンガ造りの部屋があります。目印は “DOCKMASTER’S OFFICE” の文字。ドックマスター、つまり、この船着き場をあずかる主任の事務所です。見つけた方は、壁を見てください。

救命用の浮輪。消火用のバケツ。ここまでは、港の道具ですね。その隣に、斧が掛かっています。何に使う斧だと思いますか?

……緊急のときに、木でできた建物を壊すための斧なんです。

ちょっと、ぞっとしますね。隣のバケツは、消火用でした。港で起きる「緊急」が、どんなものか。そう思ってもう一度この壁を見ると、ここに並んでいるのは飾りではなく、備えなんですね。

もうひとつ。それらと一緒に、ランプが掛かっています。ただの灯りではありません。このランプは……夜の河を行く船へ、合図を送るためのものなんです。

浮輪も、バケツも、斧も、ランプも、どれも港で働く人の道具。ここは駅の待合室ではなく、夜になっても船が行き来する、河の港の事務所なんですね。暗い河から船が帰ってくる。桟橋のランプが、それを迎える。そのための部屋が、列のすぐそばにあります。

もし今日は見つからなくても、大丈夫ですよ。ランプの合図を受ける船には、この先でちゃんと会えます。

乗船

桟橋に着いた白い蒸気船の船尾。大きな外輪と、MARK TWAIN の名板

桟橋に出ると、白い船が待っています。船尾と、いちばん上の操舵室の下に「MARK TWAIN」の名板。黒い煙突のてっぺんには冠の飾り、煙突と煙突のあいだには星。そして、星条旗です。

1811年、ミシシッピ川で走りはじめた蒸気船は、はじめは人だけでなく、綿や砂糖も運んでいました。人気が高まるにつれて船体は華やかに飾られ、「水上の宮殿」と呼ばれるようになります。この船の白い姿も、同じ名前で呼ばれています。

船の後ろの大きな外輪が、河の水をかいて進みます。大きな船で、475名まで乗れます。ベビーカーも、そのままどうぞ。1周は、約15分です。

アメリカ河

アメリカ河を進む蒸気船の船尾と赤い外輪。左に船着き場の時計塔、奥にビッグサンダー・マウンテンの赤い岩山

汽笛が鳴ったら、出航です。船はアメリカ河を、ゆっくりひと回りします。

昼の船では、船長と一等航海士の会話が聞こえてくるそうです。船長はランドルフ・ノックス、航海士は物知りなジェイコブ・ブラッグス。ふたりが話すのは、船や河にまつわるトリビア。中身は、船の上で、ぜひご自身で。

ビッグサンダー・マウンテンの横を通るあたりで、手前の岸に線路が見えます。汽車が通りかかったら、手を振ってみてください。向こうの乗客も、振り返してくれますよ!

夜の船

日が暮れると、この船は明かりをまといます。昼の真っ白な姿とは別の船のように、ライトアップされるんです。その明かりが、暗い水面にも映ります。

呼び名は「水上の宮殿」でしたね。もうひとつ、「水上のウェディングケーキ」に例えられることもあります。昼の真っ白なケーキも素敵ですが、夜はさらに飾りつけをしたように見えて、この例えがいちばん似合うのは夜のほうです。

夜の船は、船長だけ。航海士との会話の代わりに、ロマンティックな音楽が流れるそうです。

待合室の事務所にあった、あのランプ。夜の河を行く船への合図でしたね。では、暗い河を、明かりをつけて帰ってくる船は?……そう、この船です!

旅のあとで

降りたら、ひとつだけ。同じ看板に名前のあった「トムソーヤ島いかだ」の乗り場、そのそばの柵から、クリッターカントリーのほうを見てください。タイミングが合うと、この蒸気船と、ウエスタンリバー鉄道と、ビーバーブラザーズのカヌーが、一度に見えます。

この船は、1983年4月15日、東京ディズニーランドが開園した日から、アメリカ河を回っています。

それでは、みなさまどうぞ、よい船旅を。


出典: この記事の事実は、以下で確認しています(2026年10月26日閲覧)。
・東京ディズニーリゾート公式サイト アトラクションページ「蒸気船マークトウェイン号」(「水上の宮殿」とも呼ばれる・夜になるとライトアップ・ウエスタンランド・約15分・475名・ベビーカーのまま利用可) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/attraction/detail/159/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「秋のアメリカ河で、ロマンティックなひと時をあなたに♪」(2013年10月21日。1811年にミシシッピ川で蒸気船が運航をはじめ、綿や砂糖も運んでいた・華やかな装飾から“水上の宮殿”・船着き場の建物は1780年代から1840年代に流行したフェデラル様式で左右対称・待合室には蒸気オルガンの音楽・“DOCKMASTER’S OFFICE”のレンガ造りの部屋はドック主任の事務所で、壁に救命用の浮輪、消火用バケツ、緊急の際に木材でできた建物を壊すための斧、夜間に河を航行する船へ信号を送るランプ・昼は船長ランドルフ・ノックスと一等航海士ジェイコブ・ブラッグスの会話、夜は船長のみで音楽・船体の照明が水面に映る) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/131021/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「アトラクションキャストが教える!見どころ紹介 ~蒸気船マークトウェイン号編~」(2021年1月27日。“水上の宮殿”のほかに「水上のウェディングケーキ」の例え・日が暮れるとさらにデコレーションされたように見える・「トムソーヤ島いかだ」乗り場の右側の柵の周辺からクリッターカントリー方向に蒸気船とウエスタンリバー鉄道とビーバーブラザーズのカヌーが一度に見えることがある・ビッグサンダー・マウンテンの横を通過するあたりで手前に線路が見え、汽車の乗客と手を振り合える・1周約15分) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/210127/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ(2018年3月19日。1983年の東京ディズニーランド開園時からウエスタンランドにある) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/pr180319/
・東京ディズニーリゾート公式サイト アトラクションページ「トムソーヤ島いかだ」(『トム・ソーヤの冒険』の作者マーク・トウェイン) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdl/attraction/detail/161/
・D23 Disney A to Z「Mark Twain Riverboat」(東京ディズニーランドで1983年4月15日開業) https://d23.com/a-to-z/mark-twain-riverboat/
・看板の文字と絵・船着き場の建物の屋根と時計塔と風見・車寄せの上の文字と屋根の内側の吊りランプ・船の名板と煙突の飾りと星条旗は、パークで撮影した写真(2009年〜2019年)で実物と文字を確認

注記: 本記事は非公式のファンコンテンツです。ウォルト・ディズニー・カンパニーおよび株式会社オリエンタルランドとは一切関係ありません。