レイジングスピリッツへ、ようこそ。ここから乗り場までは少し長いですが、その時間もちゃんと楽しんでいただけるように、ご案内しますね。
この列には、はしごが、あちこちに掛かっています。全部で何本あるか、数えながら歩きましょう。
歩く順番のとおりにお話ししますので、読みながら、ゆっくり進みましょう。それでは、発掘現場へ、出発です!
入口の看板

まず、さびた鉄の看板です。丸太の柱に縄で縛りつけてあって、黄色い地に、切り抜きの文字。「RAGING SPIRITS」。上には、金属を切り抜いた飾りも乗っています。
レイジング、と聞くと、「レイズ」、持ち上げる、のほうを思い浮かべませんか。看板の綴りを、もう一度見てください。R、A、G、I、N、G。「raise」ではなくて、「rage」。激怒する、のほうなんです。レイジングスピリッツは、直訳すると「怒れる神々」。
誰が、何に怒っているのか。それは、この先で分かります。
その前に、看板のそばの石壁も見てください。彫像の隣に、縄ばしごが垂れています。見つかりましたか?さあ、ここから数えはじめましょう。
丸太と縄の足場

大きな石の像が見えてきたら、その脇を見てください。積み上げた石の塔のような姿に、丸太が何本も立てかけてあります。縄で、ぐるぐると縛って。横木を渡して、はしごのように組んであるところもありますね。
その下に、時計と、「WARNING!」の看板。看板には、輪になったレールと「360° LOOP」の文字が描いてあります。この絵、覚えておいてくださいね。
ここでひとつ、聞かせてください。この場所は、何をしている現場だと思いますか?
発掘現場、ですよね。つるはしとスコップで、土の中から遺跡を掘り出している。……そう見えます。
でも、この丸太の足場。縄で縛って、像に寄りかからせてあります。掘るための道具にしては、ずいぶん高いところまで組んでありますね。
階段の火と水

階段が見えてきたら、まず、石段を見てください。水が流れ落ちています。その水の上で……火が燃えているんです。水に消されずに、火が燃えている。
怒っているのは、火の神と、水の神。この階段が、そう教えてくれています。
階段のいちばん上を見上げてください。丸い冠をかぶった、大きな顔。火の神、イクチュラコアトルです。高さは、約16メートル。
今度は、階段の下です。口を開けた石の頭が、こちらを向いています。その口から、水が落ちているところがありますね。この頭も、覚えておいてください。
この場所は、もともと、神様をまつる祭祀場でした。火の神も水の神も、とても気性が荒くて、人々が儀式を怠ると、火山が噴火し、大きな嵐が町を襲ったといいます。やがて文明は失われ、ここは遺跡になりました。
そして、ここからが、発掘チームの話です。
1930年代、この遺跡に、考古学者と発掘チームがやってきました。見つけたとき、石像は……倒れていたんです。チームは採石場にレールを敷き、ホッパーカーという貨車と道具を集めました。やがて、倒れていた石像が火の神と水の神だと分かり、慎重に、慎重に、復元を進めた。
そう、ここは掘っている現場ではなくて、直している現場だったんです!
16メートルの高さまで、倒れた神様を積み直す。だから、足場がある。だから、はしごが、あんなにたくさん掛かっている。さっきから数えているはしごは、一本一本が、高いところで誰かが作業をするための道具なんですね。
蒸気と、ねじれたレール

ここで、最初の問いに戻りましょう。神々は、何に怒っているのか。
復元作業は、進みました。そして、ついに完成……と思われた、そのとき。
チームは、火の神と水の神の顔を、向かい合わせに立ててしまったんです。古代の法典では、二人の神の顔を向かい合わせることが、禁じられていたそうです。壁画と古代文字を読み解いていた仲間がそれに気づいたときには、もう手遅れでした。
その瞬間、石像の顔は怒りに満ち、火の神のまわりには炎が燃え上がり、水の神の口からは、滝のような水がほとばしった。階段の下で、口から水を落としていた石の頭を、思い出してください。
ぶつかり合った怒りは、貨車のレールにまで及びます。大きなレールが高く持ち上げられ、そのまま、ねじれた。作業員を乗せたまま、貨車は暴走しました。
像の後ろの、輪になったレールを見てください。さっきの看板の絵を、覚えていますか。あれが、そのレールです。像の脇から噴き上がっている、白い蒸気。あれも、その瞬間から、ずっと噴き上がっています。神々の怒りは、まだ収まっていないんです。
だから、もう一度、まわりを見てください。縄で縛った丸太も、はしごも、滑車も。全部、直し終わる寸前で止まった仕事が、そのままの形で残っているんですね。
乗り場

乗り場に着くと、道具がいちばん濃くなります。丸太を組んだクレーンに、滑車。ランタン。縄の柵と、縄の網。そして、乗り場に止まっている、木の箱のような車両。これがホッパーカー。採石場からの荷物を運ぶための、貨車です。
発掘チームが敷いたレールの上を、この貨車が走っていました。私たちがこれから乗るのは、その貨車です。
スマホは、ここでしまってくださいね。続きは、降りてから。
旅のあとで
ホッパーカーは、炎と水と蒸気の中を駆け抜けて、輪を一回転し、蒸気の立ちこめる穴へ落ちていきます。この一回転は、2005年7月にできたとき、東京ディズニーリゾートで初めての、360度の垂直回転でした。
でも、ぐるりと回るだけではないんです。高いところを走るので、まわりの景色が360度、見渡せます。タイミングが合うと、トランジットスチーマーラインの蒸気船が見えることもあるそうです。
降りたら、ひとつだけ。はしごは、何本見つかりましたか?途中で数えるのを忘れていた方は、次に並ぶときの楽しみにしてくださいね。
それでは、みなさまどうぞ、よい発掘調査を。
出典: この記事の事実は、以下で確認しています(2026年10月28日閲覧)。
・東京ディズニーリゾート公式サイト アトラクションページ「レイジングスピリッツ」(ロストリバーデルタで発掘された古代神の祭祀遺跡・誤って水の神と火の神の石像の顔を向かい合わせてしまったため神々の怒りが爆発し、荷物を運搬するホッパーカーのレールがねじれた・火と水と蒸気の中を猛スピードで駆け抜ける・約1分30秒・12名・回転する) https://www.tokyodisneyresort.jp/tds/attraction/detail/242/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「ねじれたレールが語るストーリー」(2018年9月14日。入口の看板の「RAGING SPIRITS」は「raise」ではなく「rage…激怒する」で、直訳は「怒れる神々」・流れ落ちる水の上で炎が燃えている・元は祭祀場で、火の神と水の神は気性が荒く、儀式を怠ると火山が噴火し嵐が町を襲った・文明が失われ、考古学者と発掘チームが資料をもとに発掘・復元・古代の法典は顔を向かい合わせることを禁じていた・石像の顔が怒りに満ち、火の神の周りに炎、水の神の口から滝のような水・ホッパーカー(貨車)のレールが高く持ち上げられてねじれた・作業員を乗せたまま暴走・怒りは今も収まらない) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/180914/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「アトラクションキャストが教える!見どころ紹介~「レイジングスピリッツ」編~」(2022年8月25日。発掘だけでなく復元作業も行っている・発見されたとき石像は倒壊していた・採石場にレールを敷き、ホッパーカーや道具を集めた・倒壊していた石像が火の神と水の神と分かり慎重に復元・復元が完了すると思われたとき神々の怒りが爆発して大量の蒸気が噴き上がり、レールがねじ曲がった・壁画や古代文字を解読していたチームが禁忌に気づいたが手遅れ・火の神“イクチュラコアトル”は高さ約16m・高い所で作業するので発掘現場にはたくさんのはしごが掛けられている・360度の視界・トランジットスチーマーラインの蒸気船が見えることもある) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/220825/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「アトラクションの物語を知って、一味違った楽しみ方を!」(2022年2月3日。「レイジング」は「rage…激怒する」のing形で「怒れる神々」・資料をもとに発掘・復元・向かい合わせたことで神々の顔が怒りの表情に・ホッパーカーは猛スピードで暴走) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/220203/
・東京ディズニーリゾート公式サイト テーマポート紹介「ロストリバーデルタ」(1930年代の中央アメリカのジャングル・古代文明の遺跡が発掘され、考古学者や一攫千金を狙う者たちが集まっている) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdr/facility/themeport.html
・D23 Disney A to Z「Raging Spirits」(2005年7月21日開業・360度ループのあと蒸気の立ちこめる陥没穴へ) https://d23.com/a-to-z/raging-spirits/
・株式会社オリエンタルランド 沿革「東京ディズニーシー開業」(2005年7月、東京ディズニーリゾートで初めての360度の垂直回転が楽しめるローラーコースタータイプのアトラクション) https://www.olc.co.jp/ja/company/history/history07.html
・入口の看板の綴りと飾り・石壁の縄ばしご・像に縄で縛った丸太の足場・時計と「WARNING!」「360° LOOP」の看板・階段を流れる水の上の火と石の頭の口から落ちる水・乗り場の丸太のクレーンと滑車とランタンとホッパーカー・蒸気と輪になったレールは、パークで撮影した写真(2016年〜2020年)で実物と文字を確認
注記: 本記事は非公式のファンコンテンツです。ウォルト・ディズニー・カンパニーおよび株式会社オリエンタルランドとは一切関係ありません。