マクダックス・デパートメントストアへ、ようこそ。ここからお店の中に入るまでは少し長いですが、その時間もちゃんと楽しんでいただけるように、ご案内しますね。
ここは、世界でいちばんお金持ちのアヒルの百貨店です。でも、最初から百貨店だったわけではないんです。
お店の前から、中のいちばん奥まで、歩く順番のとおりにお話ししますので、読みながら、ゆっくり進みましょう。それでは、出発です!
入口の噴水

まず、入口の前の噴水です。水盤の真ん中に、金貨が山になっていて、そのてっぺんから水が湧いています。金貨でできた噴水、です。
縁に、小さな銘板が付いています。読めますか?「Naturally Pure Hudson River Water」。ハドソン川の、天然の水、と書いてあります。ここはニューヨークの街ですから、金貨の山から湧いているのは、この街の川の水なんですね。
この噴水の持ち主が、スクルージ・マクダック。ドナルドダックの伯父さんで、世界でいちばんお金持ちのアヒルです。お金持ちすぎて、噴水まで金貨でつくってしまいました。
角の百貨店

噴水から少し下がって、建物を見上げてください。通りの角に、石造りの立派な建物。塔が2つ、その間に時計。緑色の丸い日よけが並んでいて、「QUALITY」「SERVICE」「PRICE」。品質、サービス、お値段。窓には「NEVER UNDERSOLD」、どこよりも安い。「EASY TERMS」、分割払いもどうぞ。
旗にも窓にも、あちこちにドルマーク。入口の柱には、金貨がぐるぐると巻きつけてあります。それはそれは、リッチです。
このお店を開いたスクルージは、スコットランドから、このニューヨークに移り住んできたアヒルです。移民の街で、ここまでのお店を構えた。
……では、パスの時間まで、少しだけ歩きましょう。数軒先までです。
数軒先の、赤い看板

百貨店の建物に沿って、通りを数軒分、歩いてください。酒場の「SALOON」、貸し部屋の「ROOMS」。古びたレンガの建物が続きます。
その先に、赤い看板。読めますか?
「McDUCK'S PAWN SHOP」。……マクダックの、質屋です。
「どんな物でも、公正な値段で買い取ります」。番地は11。窓には「CASH for APPLIANCES」「ANTIQUES」「TOYS」、家電も骨董もおもちゃも、現金で買います。軒先には、金の玉が3つ。昔からの、質屋のしるしです。その下に「CASH PAWN NO CREDIT!」。現金のみ、掛け売りお断り!……角の百貨店は「分割払いもどうぞ」でしたよね。ずいぶん、商売の顔が違います。
さて。角の立派な百貨店と、この古びた質屋。別々のお店に見えますよね。同じ名前の、別のお店。
……違うんです。この百貨店、ニューヨークのひと区画を、まるごと占めているんです。角の正面から、この赤い看板まで。そして正面から入って奥へ進むと、百貨店の中に、質屋があるんです!
スクルージは、最初から大金持ちだったわけではありません。この街で最初に開いたのが、質屋。それが大繁盛して、次に帽子と布の問屋、そして角の百貨店へ。問屋は、中にあります。あとで通りますね。質屋と問屋は質素なつくり、百貨店は、その成功をもとに少し贅沢をして、豪華なつくりにしたのだそうです。スクルージの商売の、始まりと今。その両方が、この通りに建っているんですね。
私が撮ったときは、この質屋の扉が開いていて、中のシャンデリアが見えていました。
百貨店の吹き抜け

パスの時間が来たら、正面から入りましょう。白い吹き抜けです。金色の柱、高い天井。真ん中の什器の上に、金色の像が立っています。シルクハットに鼻眼鏡に杖、足元には金貨の山と、お金の袋と札束。スクルージ本人です。
そのまま、上を見てください。2階の手すりの上に、大きな肖像画。羽根の付いたベレー帽に、タータンチェックのキルト。手は地球儀の上。そして後ろに、お城が描いてあります。……スコットランドの格好なんです。ニューヨークに来る前の、故郷の姿ですね。
初めて稼いだ10セント硬貨を手にした肖像画も、店内のどこかにあるそうです。その10セントは、スクルージのいちばんの宝物なのだとか。どの絵か、ぜひご自身で。
金の顔のアーチ

吹き抜けの奥に、アーチがあります。上に、金色のスクルージの顔。見つかりましたか?
このアーチ、くぐってみてください。……天井、変わりましたよね?白い吹き抜けから、いきなり、錫の板の天井と、濃い色の木の壁。ガス灯のようなシャンデリア。
ここから先が、質屋。つまり、スクルージのいちばん最初の商売なんです。いちばん新しいお店から、いちばん古いお店へ、一歩でひとっ飛びです。
質屋

壁の上のほうを、ぐるりと見てください。カメラ、蓄音機のラッパ、傘の骨、マンドリンにバンジョー。ごちゃごちゃと、物だらけです。全部、誰かが持ち込んだ品。
よく見ると、白い札が付いています。「McDuck's Pawn Shop NEW YORK CITY」、番号つき。質札です。私が撮ったときは、扇風機にまで札が付いていました。照明に札が付いているのを、見たこともあります。……まさか、照明まで質草?さすが、敏腕の経営者です。
窓の上には黒板。写真の中では、質流れの品の一覧が書いてあります。氷ばさみ、コーヒーミル、蒸気式の芝刈り機、4人乗りのブランコ、蝋管(ろうかん)の蓄音機。20世紀の初めごろの、ニューヨークの暮らしの道具です。ラッパのついた蓄音機は、棚のほうにありますよ。黒板の品物を、棚でひとつ、見つけてみてください。
問屋

質屋を抜けると、今度はレンガの壁の部屋です。木の梁に、天井扇。中二階に、布の反物がずらり。帽子の木型に、引き出し。戸口の上の看板は「MILLINERY」。婦人帽子、という意味です。
ここが、外で言った問屋です。質屋の次に開いた、2軒目のお店。いちばん古いお店から、ひとつ時代が進みました。質屋で稼いで、ここで帽子と布を売って、その2つの成功で、角に百貨店を建てたんですね。
お店を出たら

お店の中のどこかに、木の扉があって、真鍮の札が付いています。「関係者専用」、その下に「DUCKS ONLY」。関係者は、アヒルだけ。もし見つけたら、くすっとしてくださいね。
お買い物が終わって外に出たら、もう一度、通りを見てください。角の石の百貨店と、数軒先のレンガの質屋。さっきまでは別々の建物だったのが、今は、一羽のアヒルの「いちばん新しいお店」と「いちばん最初のお店」に見えませんか?
スクルージは、倹約家で、抜け目のない商売人として有名です。質屋から始めて、噴水を金貨でつくるまで。
それでは、みなさまどうぞ、よいお買い物を。
出典: この記事の事実は、以下で確認しています(2026年10月30日閲覧)。
・東京ディズニーリゾート公式サイト ショップページ「マクダックス・デパートメントストア」(世界で一番リッチなアヒルの百貨店・この街を代表する百貨店の経営者として有名なスクルージ・マクダックですが、最初から大金持ちだったわけではありません・質屋から始めたスクルージの商売は大繁盛して、いまでは金貨でできた噴水までつくるほど・店内には彼が初めて稼いだ10セント硬貨を手にしている肖像画も飾られています・苦労して働くことの大切さを知る倹約家・アメリカンウォーターフロント) https://www.tokyodisneyresort.jp/tds/shop/detail/621/
・同 英語版(The grand department store occupying a whole block of New York City・What started out as a pawnshop is now a booming business) https://www.tokyodisneyresort.jp/en/tds/shop/detail/621/
・東京ディズニーリゾート公式ブログ「ストーリーの“登場人物”は誰?~アメリカンウォーターフロント編~」(2020年8月18日。20世紀初頭のアメリカ・大都市ニューヨーク、世界中から多くの移民を迎えて・旗や窓などいたるところにドルマーク、入口には金貨でできた噴水・スコットランドからニューヨークに移住して開いたお店・店内は、スクルージが手掛けた順に、質屋、問屋、百貨店の3つのエリアで構成・質屋と問屋は質素なつくりですが、これらのお店の成功をもとに、百貨店は少し贅沢をして豪華なつくりにしたんだとか・店内にはスクルージを称える肖像画や彫像・倹約家で、抜け目ない商売人) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdrblog/detail/200818/
・東京ディズニーリゾート公式サイト スタンバイパスの案内(マクダックス・デパートメントストア 対象期間:2026年11月2日(月)から当面の間) https://www.tokyodisneyresort.jp/tdr/guide/app_service/standbypass.html
・D23 Disney A to Z「Scrooge McDuck」(Donald Duck's popular rich uncle・1947年にカール・バークスが漫画で生んだ) https://d23.com/a-to-z/scrooge-mcduck/
・D23「The Duck With Three Cubic Acres of Cash」(Scrooge's most prized possession is his Number One Dime, the first coin he ever earned・thrift) https://d23.com/the-duck-with-three-cubic-acres-of-cash/
・照明にも質札が付いていた観察は、語り手自身の連載「ディズニーの魔法の成分」Vol.31「影の実力者は 〝おじさん〟」(iroiro、2022年5月1日) https://iroiro-okinawa.com/articles/disney/post-8915/
・百貨店と質屋の外観と看板の文字・噴水の銘板・金貨の柱・2階の肖像画・アーチの金の顔・扇風機の質札・黒板の品目・「MILLINERY」の看板・「DUCKS ONLY」の札は、パークで撮影した写真(2019年4月)で実物と文字を確認。黒板と質札は撮影時のもの
注記: 本記事は非公式のファンコンテンツです。ウォルト・ディズニー・カンパニーおよび株式会社オリエンタルランドとは一切関係ありません。